懲罰的損害賠償(Punitive Damages)

アメリカでは,補償的損害賠償(compensatory damages)の他,懲罰的損害賠償(Punitive Damages)が認められることがあります。
補償的損害賠償は,日本でも認められる相当因果関係のある損害の賠償のことです。
これに対し,懲罰的損害賠償は,実際の損害とは無関係に,制裁的に多額の賠償を課し,二度とそのようなことをしないように予防するために認められるものです。巨大な企業が,誰かの犠牲の上で大きな利益をあげている時に,懲罰的損害賠償を認めて,そのような営利行為をしても割に合わないことを知らしめるために,認められることが多いようです。

これに対し,日本では,懲罰的損害賠償が認められることはありません。

では,アメリカの会社がアメリカで日本の会社に対して裁判を提起し,懲罰的損害賠償が認められたとき,そのアメリカの会社は,日本にある会社の財産に対して強制執行をすることができるのでしょうか。

これについて,最高裁は,次のように判示しました。

1 民事訴訟法118条は,次のように規定しています。

(外国裁判所の確定判決の効力)
第118条  外国裁判所の確定判決は、次に掲げる要件のすべてを具備する場合に限り、その効力を有する。
  一  法令又は条約により外国裁判所の裁判権が認められること。
  二  敗訴の被告が訴訟の開始に必要な呼出し若しくは命令の送達(公示送達その他これに類する送達を除く。)を受けたこと又はこれを受けなかったが応訴したこと。
三  判決の内容及び訴訟手続が日本における公の秩序又は善良の風俗に反しないこと。
四  相互の保証があること。

海外進出セミナーを開催しました

2014年2月24日,奈良県中小企業家同友会の北和支部において,『アメリカ進出のイ・ロ・ハ』と題するセミナーを開催しました。

イロハというだけあって,これからアメリカに進出しようか,どうしようか,と考えている企業の社長や担当者が約20名集まってくれました。

以下,講演内容です。

①基調講演(辻本弁護士):今なぜアメリカか?〜アメリカの現状
②石垣行政書士:進出形態の選び方,ビザの種類,補助金の活用
③檜山弁護士:英文契約書作成の注意点
④高瀬弁護士:アメリカでの債権回収
⑤辻本弁護士:アメリカにおける知的財産権の取扱い
⑥東條社会保険労務士:海外勤務における労務管理
⑦酒匂公認会計士・税理士:アメリカの税務

いずれもとても基本的で重要なトピックでした。
会場からは,時間を忘れて熱心な質問が飛び交いました。
今すぐにでも渡米したい,という熱意が伝わってきました。

アメリカは遠い国だという先入観を払拭できたようです。