2010-01-01から1年間の記事一覧

ディスカバリー(日本とアメリカの違い)

日本とアメリカの民事訴訟手続で最も異なると言われているのが,Discovery(証拠開示手続)の制度です。 この制度は,法廷でのtrial(審理手続)の準備のために,当事者双方が互いに質問したり第三者に質問したりして証拠を保全する手続です。 未知の証拠の…

CISG(ウィーン売買条約)

CISGは,United Nations Convention on Contracts for the International Sale of Goodsの略で,通称ウィーン売買条約と呼ばれています。この条約は,国際物品売買契約に関する一般的条項を定めたもので,強行法規は含まれていません。 ですから,当事者が契…

ニューヨーク条約

平成22年10月21日付のブログ「裁判か,仲裁か」で紹介したとおり,国際商取引においては仲裁にいろいろとメリットがありますが,その一つが強制執行の容易性にあります。 強制執行がなぜ容易かと言いますと,ニューヨーク条約が存在するからです。ニュ…

Whereas Clause

伝統的な契約書の冒頭には,Whereasから始まる一文を入れるのが通常です。このWhereas Clauseは,契約に至るまでの背景や,契約の目的などを端的に説明する条項です。 これを入れることにより,本契約がどのような性質を持っているか,最初に心づもりをする…

日本人がNY州の司法試験に受かる方法

最も大切なことは,「割り切ること」です。 つまり,我々普通の日本人(帰国子女などではなく,普通に日本の学校教育を受けてきた人)は,英語力で本場アメリカ人に勝ろうとすることを目指さないことです。 他方で,日本人は,アメリカ人よりも優れた論理力…

仲裁か,裁判か

外国の企業との間で契約書を作成するときに,紛争解決方法を定めておく必要があります。定める紛争解決方法には,大きく分けて,訴訟(裁判)と仲裁があります。訴訟も仲裁も,法律に基づいて判断が下される点では同じですが,仲裁は,中立的な紛争解決手段…

不可抗力 Force Majeure

英米契約法には,日本法でいう不可抗力や大陸法でいうForce Majeureの概念がないので,契約の中で何も規定していなければ,非常に限られた場合を除いて不可抗力による免責は得られません。ですから,英米法系の法律を準拠法とする場合,何らかの避けられない…

英語が難しい?

昨日,別件でたまたまNY州の司法試験の参考書を見返す機会がありました。 今読んでも,勉強していたころが昨日のように甦り,すっと頭に入ってくるのですが,同じ英文を英語を勉強していない別の人に読んでみてもらうと,「こりゃ難しいな」と言うのです。…

"Here-"の使い方

契約書の条項の中に,よくhere-で始まる単語が出てきます。これは,"this agreement"と同義で,「本契約において〜」という意味で使われます。例えば, Herein (= in this agreement) 「本契約において」 Hereto (= to this agreement) 「本契約に対し」 Her…

FOB(インコタームス)

インコタームスの1つであるFOBについて説明します。FOBとは,Free On Boardの略で,日本語では「本船渡し」と呼ばれています。 売主が,商品を船に乗せるまでの費用と危険を負担する,という約束です。つまり,売主は,買主が手配した本船まで商品を…

インコタームズ 1

インコタームズ(Incoterms)は,International Commercial Terms を組み合わせた合成語です。 国際間の貿易においては,輸出者と輸入者との間でどのような条件の下で物品を引き渡すか,その義務と権利の関係が争いになることがあります。例えば,輸送途中に…

信用状の活用

貿易においては,信用状は大変重要な役割を果たします。信用状(L/C, Letter of Credit)とは,信用状発行銀行(輸入者の取引銀行)が信用状の名宛人である輸出者及び輸出者の振り出した為替手形の受取人などに対して,信用状に記載した条件に一致した荷為替…

リーディングで伸ばす!

日本人の多くは,外国人との会話ができないことにコンプレックスを抱き,リスニング,スピーキングに力を入れています。 しかし,純粋日本人の私たちが,多少なりとも英語を聞いたり話したりできるようになったのは,大量の英語を短時間で読むことを繰り返し…

"shall"と"may"

英文契約書の中に,“shall”や“may”という助動詞が使われることがよくあります。 では,この2つの違いは何でしょうか。 端的に言うと, shallは,義務, mayは,権利です。 つまり,shallが使われている場合は,「〜しなければならない」のに対し,mayが使わ…

準拠法

管轄がある裁判所は,次に,どの国の法律を適用するかを検討します。 それが,「準拠法」の問題です。 準拠法がどの国のものかは,「法の適用に関する通則法」(以下,「通則法」といいます)によって判断されます。 通則法7条によると,「法律行為の成立及…

国際管轄

日本の会社がアメリカの会社に物品を輸出する場合,どのような契約を作成したらよいのでしょうか。 基本的には,売買契約です。 この契約書の中に管轄の定めがなければ,当事者間で問題が生じた場合に,どちらの国のどこの裁判所で解決が図られるか,争いが…

本当に国際商取引は難しいのか?

取引の相手方が外国の場合,まずは,管轄の問題があります。 つまり,どこの裁判所で,どの法律を使って解決するのか,難しい法律問題があるのです。また,外国企業との取引は,文化が日本とは大きく異なることがあります。 初めて取引をするときには,こち…

ハンドブログ開始!

私たちが大阪で弁護士登録をして10年が経ちました。その間,それぞれの事務所で様々な国際案件を取り扱うと共に,大学院で学んだり,留学を経験したりして,国際弁護士としての基礎を身につけてきました。このブログは,今まで私たちが学んだこと,経験し…