信用状の活用

貿易においては,信用状は大変重要な役割を果たします。

信用状(L/C, Letter of Credit)とは,信用状発行銀行(輸入者の取引銀行)が信用状の名宛人である輸出者及び輸出者の振り出した為替手形の受取人などに対して,信用状に記載した条件に一致した為替手形※についてその支払または引受をすることを約束した書面をいいます。

(※ 為替手形とは,輸出者が商品を運送会社に渡したということを証する船積書類と,名宛人を輸入者,名指人(受取人)を輸出者の取引銀行として振り出した為替手形を併せたものです。)

つまり,信用状は,貿易につきものの様々なリスクを回避する役割を担うのです。
貿易は,遠く離れた国との間で売買契約をするため,商品を売ってから代金を回収するまでに時間の誤差が生じます。
その時間の誤差があるため,次のようなリスクが発生します。

  • 代金回収リスク

  異国の会社との取引となると,その取引先の信用状況を調査することが少々困難です。また,仮に,代金不払いとなった場合,裁判を起こして勝訴判決を得たとしても,強制執行をする財産を見つけることがかなり困難です。
  そのため,もし,取引先の会社の信用状況に問題があった場合には,結局代金を回収できないままになってしまうおそれがあるのです。

  • 資金負担リスク

  商品を売ってもすぐに代金を回収できないとなれば,輸出者は,その間の資金を自分で負担しなければなりません。
これも,遠く離れた国との間で行う貿易のリスクということができるでしょう。

  • 商品入手リスク

  輸入者の側にとっては,代金を支払ったものの商品が届けられないとか,契約どおりの商品が届かないなどのリスクがあります。

  • 為替変動リスク

  違う通貨を使用している国どおしの貿易の場合,為替が変動することによって回収見込みの金額が手に入らないことになるリスクがあります。例えば,100ドルの商品を売ったとします。売った時点で円が1ドル95円だったにも関わらず,代金決済時に円が1ドル85円に値上がりした場合,当初の見込みでは9500円を回収できるはずだったのに,8500円しか回収できないということになるのです。


 信用状は,これらのリスクを回避する役割を果たします。
 まず,銀行を間に入れることによって,代金を確実に支払ってもらうことができます。次に,輸出者は,商品の発送とほぼ同時に自己の取引銀行(買取銀行)から商品代金を支払ってもらえます。
 輸入者側は,船積書類と引き換えに代金を支払い,その船積書類には信用状の記載と一致した商品が記載されていますので,契約どおりの商品を確実に受け取ることができます。
 代金決済が商品の発送とほぼ同時にできるので,為替変動リスクも最小限に抑えることができます。

 貿易のリスクを回避するためには,信用状を活用した方が良いでしょう。