準拠法

 管轄がある裁判所は,次に,どの国の法律を適用するかを検討します。
 それが,「準拠法」の問題です。

 準拠法がどの国のものかは,「法の適用に関する通則法」(以下,「通則法」といいます)によって判断されます。

 通則法7条によると,「法律行為の成立及び効力は,当事者が当該法律行為の当時に選択した地の法による」となっています。

 つまり,当事者が契約締結時に,

  「This contract shall be governed by the laws of Japan」

と決めておけば,日本法が適用されることになります。

 もし,当事者が契約締結時に準拠法を決めていなければ,通則法8条により,

  「法律行為の成立及び効力は,当該法律行為の当時において,当該法律行為に最も密接な関係がある地の法」
が準拠法となります。

 法律行為において特徴的な給付を当事者の一方のみが行うものであるときは,その給付を行う当事者の常居所地法(その当事者が当該法律行為に関係する事業所を有する場合にあっては当該事業所の所在地の法,その当事者が当該法律行為に関係する2以上の事業所で法を異にする地に所在するものを有するものにあってはその主たる事業所の所在地の法)が当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定されます(通則法8条2項)。

 また,不動産を目的物とする法律行為については,その不動産の所在地法が当該法律行為に最も密接な関係がある地の法と推定されます(通則法8条3項)。

 要するに,契約締結時にどこの法律を適用するかを決めておかなければ,いざ紛争が起こった時に,どこの法律を適用してその契約の有効無効等が決められるのか,予測が難しいという状態に陥ります。
 日本の企業にとっては,普段,日本法に則ってビジネスをしていることが多いので,海外企業との契約締結に当たっても日本法を準拠法として予め定めておくことが望ましいといえるでしょう。