コモン・ローと日本法の違い

日本の法律は,制定法主義で定められています。
つまり,国会で作られた制定法が法律として効力をもつ制度です。
判例や慣習・条理などは,法律の解釈を助けるための参考資料になるだけです。

他方で,英米では,コモン・ロー制度がとられています。
この制度の下では,基本的に制定法ではなく過去の裁判例それ自体が法律として機能します。
ただし,最近では,英米系の国々でも,制定法を定めることも少なくありません。

では,これらの法制度の違いによって,実務上どのような影響を受けるのでしょうか。
まず,何を基準として行動すべきかという行動規範を探すとき,制定法主義の下では,六法全書を開いて法律を探します。そこに書かれている条文と自分の行動を照らし合わせて,その是非を検討します。
他方で,コモン・ロー制度の下では,まず,過去の集積された裁判例のうちから,自分の行動に限りなく近いものを探す必要があります。
制定法主義の下では,法律の解釈が問題となりますし,そもそも適合する法律を探すことも一苦労です。
コモン・ロー制度の下でも,過去の裁判例が頭にしっかり入っていなければ,法律を見つけだすことが大変です。
どちらにせよ,法律家としてアドバイスをするには,長年のたゆまぬ勉強が必要だということです。